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直接金融の時代

間接金融から直接金融へ

「金融」とは、「資金を融通する。」ということ。つまり、お金を貸したり借りたりということです。大きくは「お金の流れ」全体のことを意味しています、そのお金の流れ方には大きく分けて2通りあり、「間接金融」「直接金融」というように呼んでいます。両者の違いは、そのお金の流れ方にあります。



間接金融とは

私たちが銀行に預けているお金は、銀行を通じて主に企業に貸し付けられています。銀行は「現在使わなくていいお金がある人」(預金者)からお金を集めて、「現在お金が必要な人」(主に企業)に資金を融通します。このような仕組みを「間接金融」と呼びます。預金者はお金を銀行に預け、貸出先は銀行が選別する為、リスクは銀行がとります。ということは預金者(=投資家)は、企業(=投資先)の選別・研究をする必要もなければ、リスクを負う必要もありません。


戦後の経済成長期においては、資金需要が極めて旺盛であったため、経済活動の基盤を作るべく政府は国民に貯蓄を奨励、そして、間接金融の仕組みが出来上がりました。しかし。バブル経済が崩壊すると、間接金融の要である民間の資金需要が低迷しました。銀行は不良債権処理に悩まされリスクを取れない体質へと変わってしまい、お金の流れが悪くなりました。そこで近年では「間接金融から直接金融へ、貯蓄から投資へ」をテーマに様々な施策が取られ初めました。



直接金融とは

「直接金融」とは、「現在使わなくていいお金がある人」から、「現在お金が必要な人」へ直接お金が流れる仕組みです。具体的には企業が発行する株式や社債に投資することで、投資家から投資先へと資金が流れることになります。直接金融では、私たちが自ら投資先を選別し、その投資結果に対して自らリスクを受け入れることが必要なため、ここで「自己責任」が問われることになります。つまり、自らの判断に基づく結果(投資成果)は、すべて自分に帰ってくるということなのです。


日本は戦後の混乱期の後、経済が成長し、間接金融の仕組みがうまく機能してきました。昔は銀行や郵便局に預けておくだけで財産が増える時代でした。そのため、日本人はリスクを極端に嫌うようになり、超低金利という環境にあろうとも元本保証の預貯金に資金が集まる傾向が見られます。しかし、2005年4月からはペイオフが全面解禁となり、「とりあえず銀行に預金」しておく場合でも、その預金先が経営破綻した場合には自己責任が問われるようになりました。また、税金面でも2003 年より貯蓄偏重の個人金融資産を投資へ向かわせるために、株式の売却益および配当に対する課税は一律10%(申告分離課税)に減額され、損失は3 年間の繰越控除が認められました。リスクをとる人にはこういった優遇税制が適用されるようになり、時代は間接金融から直接金融へと確実に向かっているのです。



中間型金融市場の役割と個人投資家

このように、資産運用に関して今後は自己責任が問われるようになりました。しかし、投資に対するリスク許容度、投資余力などは人それぞれですから、いくら時代の流れとは言っても、直接金融へ一気にシフトすることは難しいようです。そこで、間接金融と直接金融の中間的なものとして、「中間型金融」の果たす役割が期待されています。中間型金融では、間接金融における銀行の果たすべき役目を金融機関(機関投資家)が担っています。また、直接金融のように、個人(投資家)がリスクを負うことになります。とは言っても、今まで投資とは無縁だった個人にとってすぐに実行できることは、ペイオフに備えて預金先を分散させるぐらいのものでしょう。今は自己責任という言葉ばかりが一人歩きしている感じがしないでもありません。


具体的に説明すると、多くの投資家から幅広く集めた資金を金融機関が運用し、その収益を出資比率に応じて分配するという仕組みです。「投資信託(株式型・債権型)」がこれに該当します。


投資信託に関しては、従来は証券会社のみが取扱可能でしたが、今では銀行の窓口でも販売出来るようになっています。また2004年4月からは証券取引所法が一部改正され、「証券仲介業制度」がスタートしています。これらは、「貯蓄から投資へ」という流れが身近なところからも始まっていることを示す良い例と言えるでしょう。


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