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国の経済力の尺度となるGDP

GDPとGNPの違い

GDPとは、Gross(全体の)Domestic(国内の)Product(生産物)の略で、国内総生産と訳されています。これは「国内で生産された商品(物やサービス)の合計額」のことで、経済の規模を表すモノサシとして使われます。例えば、海外で活躍するサッカー選手や野球選手の年棒は日本国内で生じたものではないため、GDPには含まれません。GDP(国内総生産)は、四半期ごとに発表される数値をもとに、前四半期または前年同期と比較して、○%成長という風に表現し、これをGDP成長率と呼んでいます。以前はGNPGross(全体の)National(国民の)Product(生産物)、つまり国民総生産が統計として使用されていましたが、企業や人の活動範囲がグローバル化に伴い、国際的な展開を見せるようになったため、1991 年7−9 月期の国民所得統計速報からGDPが重視されるようになりました。


GDPとは付加価値の積み重ね

GDP は国内で生産された商品の合計額を表していますが、農家や商店、企業などの売り絵がを合計したものではありません。商品を作るためには、原材料費・部品などが必要ですが、それらの値段は最終的にできた商品の価格に含まれているので、GDPの計算からは外されることになります。GDPは国内で生み出された付加価値の合計額ということになります。簡単に言えば、次の図のようになります。

GDP

製鉄所は30万円の原料を鉄板に加工します。自動車メーカーは50万円で鉄板を買い、自動車を製造し、70万円でディーラーに卸し、ディーラーはそれを120万円で消費者に販売しています。

これは、製鉄所は30万円の鉄の原料を材料に鉄板(50万円−30万円=20万円)を生産し、メーカーは50万円の鉄板から自動車(70万円−50万円=20万 円)を生産し、ディーラーは70万円の自動車を(120万円−70万円=50万 円)を生産していることが分かります。GDP の算出基準は、各々の所得ベースとなっているため、図の場合では20万円+20万円+50万円=90万円という計算になります。


このように、新しく生み出された価値(付加価値)を積み上げたものがGDPになっています。そのため、GDPは国民全体の所得も表しているということが言えます。


経済成長に欠かせない個人消費

GDPは国内で生み出された商品の合計額を示しています。そしてその消費のされ方は、個人が買うか、企業が買うか、政府が買うか、海外の人が買うか、それとも誰も買わないのか、いずれかになるわけです。従って、「GDP=個人消費+民間投資+政府支出+純輸出+在庫品」という式が成り立ちます。純輸出とあるのは、輸入によって海外から入ってきた商品は海外で生み出された「付加価値」となり、GDPから除外する必要があるためです。純輸出は、輸出額−輸入額で求めることができます。


日本のGDPのうち約6 割は個人消費で占められており、経済成長には消費拡大が不可欠となっています。国が本来持っている経済力を最大限に発揮することが出来た場合に予想される経済成長率のことを「潜在成長率」と言いますが、日本はこれが2%程度あると考えられています。また、GDP成長率は発展途上国では高く、先進国では低くなる傾向が見られます。



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