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「日本の財政事情」

日本の財政赤字は?

日本の財政事情はどうなっているのでしょうか。財務省が作成した国の財政を家計に例えたものの内容を見ると年収の約10倍の負債を抱えながら、新たに月収の約80%に相当する金額を借り入れに頼らざるを得ないという状況になっています。これは、日経新聞に政府官報として大きく取り扱われたこともあります。個人レベルであれば、いつ破産してもおかしくない状態です。財政赤字と言えば、「双子の赤字」を抱える米国の専売特許のように思われますが、対GDP比率に置き換えてみると、先進国の中では日本が最も悪くなっています。ただ、日本の場合は、恒常的に貿易黒字を計上できていること、そして財政赤字に対するファイナンスを国内で十分賄えていることから、対外的には財政赤字がテーマとなりづらくなっているようです。


こうした財政事情に鑑み、一部の書籍・雑誌等では、こうした日本の危機的な財政状況を背景に、将来は預金封鎖が行われるとか、資産課税が実施されるとかいった経済評論家の見解が多く見られます。将来はインフレ(ハイパー・インフレを予測する向きもある)にならざるを得ないとの見方や、増税路線を歩み続けなければならないとの見方も出てきています。インフレになれば、お金の価値が下がる(モノの価値が上がる)わけですから、過去の借金に対する返済負担が実質的に軽くなるというのがその理由です。一方、消費税の引き上げを中心に増税路線を固めることで税収を増やし、新規国債発行額を抑えるという考え方もあります。現在の政策は後者になるわけですが、これには歳出削減を伴わないと意味がありません。それは、一段と高齢化社会が進むことで社会保障費が増加するのは避けられず、増税だけではあまり財政赤字縮小の効果が得られないためです。地方への税源移譲や公共工事の削減、特殊法人の民営化が叫ばれているのは、こうした事情があるためと言えます。



デフォルト実施国との違い

しかし、日本の場合には、アルゼンチンやロシアなどのデフォルト(債務不履行)を起こした国とは根本的に異なる部分があります。それは対外借金がないという点です。確かに財政事情は悪いのですが、国の借金のほとんどが日本国内でファイナンスされているという点は、見方によっては強みとも言えます。国が支払っている利息は日本国内の(外国人投資家が外国で保有している国債を除く)、日本の機関投資家等に渡り、それは回りまわって日本国民に還元されると解釈できるためです。極端な例では、借金に対しては利息だけ払って、元本を返すことは考えないで良いという人さえいます。ただ、こうした楽観的な見方ができるのも、国および地方の債務残高が、国民の保有する1,400兆円強の金融資産の枠を越えない限りにおいての話で、国民の所有する金融資産以上に国の借金が膨らむと、実質的に外国からの借り入れに頼らざるを得なくなり、円安・金利高となって景気に悪影響を与えてしまう可能性があります。


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