景気判断の目安となるのは、設備投資、雇用、消費、物価など
景気の良し悪しは具体的にはどのような指標で判断されているのでしょうか。大まかに分類すると、それは企業の設備投資の動向であったり、雇用や家計の消費活動の状況、あるいは物価の動きということになります。景気が良くなり需要が増加するとの見通しが立てば、企業は設備投資を行ったり、雇用を増やしたりして、より積極的な活動を行うようになります。そして先行投資に見合うだけの利益を確保できる見通しが立てば、それは従業員の給与や株主への配当に反映され、結果として家計の消費活動を活発にします。消費者のマインドが向上すれば、物価の下落傾向にも歯止めがかかり、企業は(利益の上がる)適正な販売価格を設定できるようになります。このような景気のサイクルが回り始めることで、足腰の強い景気活動が営まれるようになるのです。
こうしたサイクルは先行指数、一致指数、遅行指数の3種から成る景気動向指数の推移によって判断されます。景気動向指数というのは、各採用項目に関してそれぞれを3 ヶ月前の水準と比較し、上回っていればプラス、下回っていればマイナスとするもので、プラスの指標が半分(50%)以上あれば景気は上昇過程にあると判断するものです。景気の実体との時間差の関係から、景気に先行するもの、一致するもの、遅れて反応するものとに分かれます。景気判断のポイントとなるのは、一致指数が50%を上回っているかどうかになります。
先行指数 | 一致指数 | 遅行指数 |
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マネーサプライ 新規住宅着工面積 商品市況など |
鉱工業生産指数 大口電力使用量 有効求人倍率など |
家計消費支出 完全失業率など |
主な経済指標の発表スケジュールと見方
経済指標には毎月発表されるものもあれば、四半期ごとに発表されるものもあります。ここでは毎月発表される統計で、比較的注目度が高いと思われるものをまとめています。
〔景気動向指数〕 | 景気動向指数は、景気を総合的に判断するもので、先行指数は景気の山に対して5 ヵ月程度、谷に対して2 カ月程度先行すると言われています。そして、一般的には、一致指数が3 ヶ月間程度50%を上回っていれば景気拡大、3 ヶ月間程度50%を下回っていれば景気後退と判断します。遅行指数は景気の山に対して6ヶ月、谷に対して12 ヶ月程度遅行する傾向があります。 内閣府のHPで確認する事が出来ます。 |
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発表時期 毎月下旬 |
〔家計調査〕 | 家計調査は、勤労者(サラリーマン)世帯と自営業者を含む全世帯とを対象に、毎月の可処分所得と消費支出をそれぞれ実数値、名目値で表したものです。家計の収入の伸び具合、それに対する消費性向の強弱を見る指標です。 総務省統計局のHPで確認する事が出来ます。 |
発表時期 毎月20 日前後 |
〔完全失業率と 有効求人倍率〕 | 完全失業率は、15 才以上の就業している、もしく は就業を望んでいる約10 万人を対象にして就業状態を調査し、文字どおり失業率を計算した数字です。有効求人倍率は、失業率と同様に労働需給を調べるための指標で1.0 を超えていれば人手不足、1.0 を下回っていれば雇用余剰と判断されます。ただし、全国の公共職業安定所で扱う求職、求人のデータから作成するため、この統計のみで雇用情勢が判断できるわけではありません。 |
発表時期 毎月末〜毎月初め |
〔機械受注〕 | 景気が良くなると企業は需要を満たすために設備投資をして生産能力を高めますが、やがて需要の伸びに追いつくことで、今度は投資の停滞が生じます。設備投資にはこのようなサイクル(循環)が必然として起こります。この設備投資の先行指標となるものが、内閣府から発表される機械受注です。通常、不規則な動きをする船舶・電力を除く民需で捉え、半年の先行性があると言われています。 |
発表時期 毎月上旬 |