日本の失業率は10%!?
日本の失業率は1990 年代前半には2.0%と、先進諸国の中でも極めて低い水準にありました。ところが、バブル経済が崩壊し、日本長期信用銀行や山一證券が倒産するなどの金融危機が発生した1997 年以降には4.0%台、そして「失われた10 年」との言葉が蔓延し閉塞感が強まった1990 年代末には5.0%台へと上昇しました。
失業者と言えば、一般的には仕事に就いていない人をイメージしますが、統計上は「就業が可能で、これを希望し、かつ、求職活動をしている人」を指します。つまり、働く意志のない人は失業者には分類されないわけで、ここにニートと呼ばれる若年層の存在や職探しを半ば諦めていた中高年層が絡んでくることになります。
それでは本当の意味での日本の失業率は一体どの程度なのでしょうか? これにはいろいろな見方がありますが、有識者の中には10%程度と分析する人もいるようです。ニートやフリーターの問題は、そのまま少子化や年金問題に置き換えられるだけに、避けては通れないほどの重みを持ちつつあります。そして、その実態を把握する上でも、厚生労働省と総務省とでは、これまたニートやフリーターの定義が違っているのが現状です。統計の整合性を保つという点において、解決が図られるべき内容と言えるでしょう。
統計を鵜呑みにしてはいけない
経済統計には様々なものがありますが、その算出基準あるいは定義といったものを理解しておくべきことは言うまでもありません。発表された数値だけを見て判断すると思わぬ落とし穴にはまることもあり得ます。マーケットにおいては、各種統計が発表されるタイミングの前後では事前予測をもとに仕掛け的な動きが出たり、時間の推移とともに発表内容の解釈が変化したりすることがよく見られるので注意が必要です。