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超少子高齢化社会

少子高齢化社会と経済問題

「日本はこれから本格的な少子高齢化社会を迎える」とよく言われますが、即効性のある対策を打つことは非常に難しく、高度成長期以降先送りされてきた問題がいよいよ表面化してきました。国立社会保障・人口問題研究所が行った日本の将来人口推計によると、日本の人口は2006(平成18)年に1億2,774万人のピークに達し、2007年から戦後初めて減少に転じると予想されており、これを2006年問題と呼んでいます。


経済面から見た場合には、少子化と高齢化は別物として考える必要があるかもしません。人口問題に詳しい学者は、少子化傾向は今後も緩やかに続くのに対し、高齢化は加速度的に進行すると警鐘を鳴らしています。先進国型の人口ピラミッドが他国に比べてややいびつな型になっているのが、その原因です。高度医療技術の発達等により日本人の平均寿命は一貫して延びてきましたが、人間の生命力には限りがあるため、ある時点で天寿をまっとうする人々(年齢層)が急速に拡大するころが見込まれ、少子化傾向が今後も同じ程度のスピードで続くとすれば、日本の総人口は徐々に減少していきながら、先に行くにしたがって減少のスピードを増すことになると予測されています。近い将来起こり得る人口減少問題は、経済に大きな影響を及ぼすと考えられています。



団塊世代の退職

人口減少が始まる2006年問題をきっかけに、2007年問題、次いで2010年問題についてもあちこちで言及されるようになりました。このうち2007 年問題とは、巷で言うところの団塊の世代〔昭和22〜24年生まれ:平成19年以降に60歳の定年を迎える〕が現役を引退することによる労働力不足を意味しています。団塊の世代は現在でも総人口の5%近くを占めており、2025年時点でも4%程度と予想され、彼らが65歳を超える2016年には高齢化(65歳以上人口)の比率は1%近くも上昇するとの統計予測が示されています。


2007年問題とは、コンピューター(大型汎用機)などの基幹系システムを開発・維持してきた世代が引退してしまうことで、それまで培ってきた技術やノウハウなどが継承されず、基幹系システムの維持が困難になることを危惧するものです。日本の経済システムの根幹を作ってきた団塊の世代の退職ですから無理もありません。


また、2010年問題とは団塊世代の退職による不動産市場へのマイナス影響のことを指します。不動産市場においては「2003年問題」も取り沙汰されたことがありましたが、2003年問題は大量供給という業者側の事情による部分が大きかったのに対し、2010年問題は構造的な人口減少・高齢化が背景となっている分、根が深い問題と言えるでしょう。ある調査では、東京23区のオフィスワーカー数は2000年から2010年で5%減少し、最悪のケースでは、(建替え後の)丸の内ビルディング23棟分に相当するオフィス市場が消えるとも言われています。不良債権処理に絡む企業の土地売却は一巡した感があるものの、人口減少・高齢化による需要縮小で、不動産市場は超長期的な資産デフレが続くとの見方も出ています。


単に「働く」という狭義の意味での労働力であれば、むしろ現在は失業率の高さが問題視されるぐらいですから、ちょうど良いとの楽観的な見方をする向きもありますが、団塊世代の退職問題の本質はこういったことにあります。



年金・医療費問題が緊急のテーマ

そして、団塊世代の人口が他世代よりもかなり多いということは、彼らが年金受給者となった場合の年金財政、社会福祉財政にも多大な影響を及ぼすことになります。現在、企業においては退職給付会計が導入され、その債務残高(退職一時金あるいは企業年金の引当必要額)が明らかにされていますが、東証一部上場企業(連結ベース、2002年データ)でさえも支払いのめどをつけられない企業が多いと言われています。大和総研の試算によれば、退職給付債務92兆円に対し、年金積立資産が41兆円、その差額に対する財務上の引当分が29兆円であり、残りは簿外債務になっていると言います。中小企業においては、退職給付会計さえ導入していないところも多いようで、年金問題は時間とともに深刻さを増してくるのは避けようがありません。


まさに改革待ったなしの状況であり、現在、政府においては、サラリーマンが加入している厚生年金と公務員が加入している共済年金の一元化について研究が進められています。また、国民年金のあり方にしても、国庫負担金を引き上げる方向(差額は消費税アップで対応)で検討されており、今後ますます国民の関心を集めることになりそうです。



団塊世代が新たなビジネスに?

先行き多くの問題を抱える日本経済ですが、悲観的になりすぎるのも問題です。団塊世代の現役引退に対しては、確かに年金問題等の不安材料が多いのですが、一方では年金を受け取る側になった彼らが消費行動の中心的役割を果たすことで、逆に景気は良くなるとの見方もあります。うまく顧客ニーズに対応し付加価値を生み出すことが大切と言えるでしょう。


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